トリクルダウン

 
 

 晴れて、気持ちの良い朝です。
 花粉症の症状が年々弱くなってきているのを感じています。朝晩のアレグラ錠と、点鼻薬だけで特に不自由なく生活できていますが、このやり方を定着させたのは5年くらい前からです。自分の体質に一番合っているところに、やっと落ち着いたのかも知れません。


 史上最高の賃上げということが言われています。特に大企業で勤務する方は喜んでおられることと思います。
 なぜ賃上げするのかですが、トリクルダウンの最後の仕上げの段階だから、ということに気が付いていない方は多いかも知れません。
 トリクルダウン理論とは「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がこぼれ落ち、経済全体が良くなる」とする経済理論である。とのことですが、この20年ほど、逆の理屈で「安くて早くて安心」などのキャッチフレーズが流行したように、世間は、安いことに価値があるかのような風潮で進んでいました。
 特にリーマンショック後はその風潮が急激に進んだように思います。

 いま行っている賃上げは全く正しいと思います。

 中小零細企業では、賃上げの傾向は少しづつ見られていますが、一方で、賃借料の値上げや、外注費の値上げも進行しています。支払が増加しているため、収入の単価を上げなければならなくなっていますが、値上げ交渉に応じられない取引先も多くいます。私の小さな税理士事務所でも、近々値上げを行う予定ですが、値上げに応じられない取引先が「税理士報酬は安い」などの触れ込みで集客する業者に流れていき、これはこれで市場が形成されているようです。しかし、この市場を取りまく人たちは、早晩、淘汰されていくのかも知れません。受け皿はこれまでどおり、大規模税理士法人や若くて経験不足の税理士などになるのでしょうが、これから物価高が進めば、彼らも単価をあげなければならなくなります。
 大規模税理士法人だからと言って、必ずしも一人当たり生産性が高いわけではなく、その理由は、やはり、このような企業の存在にあると思います。このような企業は退場すべきという意見も一理あります。

 私は、不必要に、値上げ交渉に応じられない様な企業を救うべきだとは思いません。売上が減少しているのには、企業側に理由があることもあると思えるからです。一方で、不当に買いたたきするような企業もあることもまた事実で、これはこれで利益をだしていくのでしょうが、このような性質を持った企業を退場させていくことも必要だと考えます。でなければ、いつまでたっても日本人の、一人当たり労働生産性は低いままですし、マインド的にも「昭和」の香りがするこのような企業の存在は、なんとなく、目にしたくないと思うからです。でも、繰り返しますが、令和の今の時代にも、このような企業は存在しているのが事実です。

 もっとも、先日話した、ある中小企業経営者の方が言われていた「若いころは、がむしゃらに働いていただけだった」との言葉に、本質があるような気がしていて、ここが基本なのですから、この精神を忘れてはならないことは言うまでもありません。でないと、日本企業の体質が、弱っていくかもしれませんから。

 ちなみに、私が普段から考えていて、あまりメディアから出てこない意見で大切だと思っているのは、経済的に裕福な経験をしていない人に、トリクルダウンのことなどわかろうはずもないということです。

 公人と呼ばれる方々の報酬、給与等、もっと上げてしかるべきだと考えます。他人の生活の面倒をみる仕事をしておられる方が、心に余裕が持てないような経済状況で暮らしていて、本気になって、周囲の人たちの経済状況を好転させることなど、できないと考えるからです。

 いずれにしても、トリクルダウンについては、まだ、全く予断を許さない状況であることは間違いありません。