Jewel beetle

雨交じりの朝を迎えました。近所の桜の開花はこれからといったところで、水曜日ごろには、この世の幸せ、を満喫できるのではないかと思っております。
若いころ国家公務員試験を受けたことがあります。試験勉強の参考書に、公務員職務の弊害として「繁文縟礼」とか「総花的」とかの言葉が書かれていました。初めて聞く言葉で、今の年齢になっても知らない人は大勢いる言葉だと思いますが、そんなことがあるのかと当時感じたことを久しぶりに思い出しております。
しかしながら、これらの言葉には長所も含まれているであろうことはこの年齢になったらわかることで、例えば「玉虫色」などという表現も、良いこと悪いこと、両方に使われているように思います。
タマムシを最初に見たのは、鹿児島市喜入町で暮らしていたおそらく小学校3年生の時だったと思います。喜入町と言えば、当時、日石の石油備蓄基地ができたばかりで「あの人のお父さんは日石の人」などと、好意的にその存在を父が話していたのをよく覚えております。穏やかな田舎の農村に、突如、大企業の巨大施設ができたのですから、地元の人たちの中では大きな話題だったのかもしれません。
タマムシが良くとれる巨木がありました。そんな巨木とは知らずに付近で野遊びをしていた時のこと、頭上から表現しようのない美しい色を備えた、カミキリムシのような、クワガタのような、カブトムシのような、それまで見たことがない虫が落ちてきて、思わず手に取ったのを覚えています。帰る途中に会った遊び仲間が「あの木では良くタマムシが取れるんだよ」とこの虫がタマムシであることを教えてくれて、それを聞いた私はその後も頻繁にその木を訪れることになるのですが、タマムシを捕まえることができたのは、後にも先にも、この一度きりでした。
でも、いまだに当時のことをよく覚えているのですから、タマムシの色彩の美しさに魅了された経験は、相当のものだったのだろうと思います。
小学校4年生になって屋久島に引っ越し、小学校の校舎の裏を歩いていると、小さなカミキリムシのような虫が、近づくと逃げ、また近づくと飛んで行く。何の虫なのかと、捕虫網を持って捕まえると、タマムシのような色彩の美しさをもった昆虫でした。赤青金、宝石をちりばめたかのような色彩。タマムシより美しいかもしれない。図鑑で調べると「ハンミョウ」という名の虫でした。ただこの虫は、タマムシのようにおとなしい虫ではなく、強力なあごを持っている肉食生物でした。それを知った私は、近くからモンシロチョウを捕まえてきて、彼の目前にかざしたのですが、バリバリと食べ始めたのには驚き、その後も何度かそんなことをして、彼の食べっぷりを観察したものです。子供というのは残酷なもので、今だったらとてもこんなことはできないのですが、いずれにせよ、こんな乱暴な虫が、美しい色彩を持つことを当時不思議に思ったものです。ハンミョウへの興味はこの程度でなくなって、近づいたら逃げることは、その後しばしばあったのですが、捕まえたことはありませんでした。
タマムシだったら、再び観察してみたいと思っております。



