Soak up knowledge

 

 秋の長雨シーズンに入りました。このまま涼しくなっていくと、今年の夏は過ごしやすい夏だったと定義づけられるのかも知れません。暑い日はもちろんありましたが、猛暑や酷暑といった印象はなかったです。

 今の時期は、私の業界では繁忙期が終わって、ほっと一息ついている人が多いようで、私の場合、気になっていた法律を見直したり、DM等で送られてくるセミナーに顔を出したりすることが多いです。世間をにぎわしている税制改正には全く興味はなく、そうでないものを覗いたりしております。

 研究者のはしくれとして、研究業界を少しのぞかせていただいた経験の中で、多くの気づきがあり、それが今に大きく影響していると思っております。その中の一つですが、税法学の研究において、一つの条文が出来上がるまでには、長い期間をかけて、大学生、大学院生、先生たち、学者の方々、政府関係者、有識者などなど、多くの方々の多角的視点からの重層的な議論の積み重ねがあることは大きな驚きでした。延べ人数で、何百人、何千人が一つの条文について考えた結果なのでしょうか。
 研究過程では、海外の法律も研究し、日本では明治時代場合によってはその前にさかのぼって検証することもあります。その深さや重みを考えると、軽々に「真面目ぶった」私のような人間が意見を述べることに躊躇してしまうほどでした。もっとも、最終的には論文を書けて卒業できたわけですので、そこは自信を持って良いと思いますが、それでも、研究前の自分と比較すると、違う人間ができあがった感じがするくらいの、何かがインプットされたように思います。

 今、世間において「景気が良い」とか「いい指標が出ている」とか、あたかも今のおかげである様な報道が散見されます。しかし、私の経験から思うに「本当にそうなのか?そうならそれはこれまでの結果であって、それまでの多くの人達の、長年の努力があってのことではないのか?」と少し、悲しい、寂しい気がいたします。

 真面目な国民性をもつわれら日本人は、先の戦争に敗退してから、この国を復興させるべく不断の努力をしてきました。最近は、私の世代では、バブル崩壊後、とりわけこの15年くらい、失われた30年を取り戻すべく、多くの知識人、政治家、経済界の方々、報道関係者、国民も含めて、皆が努力してきました。その多くは亡くなり、また第一線を退かれました。

 そんな多くの人たちの努力の結果、想定していたことの一部が、ほんの少しだけ改善し、税収の上振れ分となってきた。指標の中にも見ようによっては良いものも出てきた。これが日本の現実の姿です。

 自分も頑張ったから今の日本があるんだ、と多くの国民は思っているのであって、だれか特定の人のおかげでこうなったわけではないと考えます。

 故安倍総理が言われていた言葉で「一つ一つの花が咲く日本でありたい」というのは至極名言で、忘れることはできません。このように国民に寄り添った彼の姿勢が、多くの国民の意識に入っていき、特に私の世代の人たちには響いて、皆が奮い立ち、結果、今があるのではないかと思います。

  この年齢になったら素敵な大人になりたいものです。

 自戒の念を込めて。